考えに考えた挙句に、するべき手立てをすべて実施した挙句に、これ以上の進展はないというときに、よく使われるのが「煮詰まった」という表現です。議論が行き詰まって結論が出せない状態になることを指して使われているようですが、本来(正しい)の意味は「議論や意見が出尽くして結論が出る状態になること」です。
“煮詰まった”状態になったら、そこから一歩進めて、結論を出さなければならないのに、「これ以上は続けても意味がない」という勘違いをすると、結論が出ないまま終わってしまうということにもなりかねません。
文化庁の「国語に関する世論調査」によると、正しい使い方をしている人は50%を越えているものの、誤った使い方をしている人も40%を越えています。感覚的には、間違った使い方をしている人のほうが多いように感じるかもしれませんが、それは会議をリードする上の立場の人が誤用している例が多いからだと考えられています。
会議室での出来事なら見逃すことができたとしても、健康面でのこととなると、煮詰まってきたところで手を引くようなことがあってはいけないはずです。
健康のためを考えて、いろいろな意見が出て、よいところを積み重ね、余計なことを削っていって高められた考えは、あと一歩のところで完成形になります。この完成形に満足することなく、健康づくりを推進する側だけでなくて、実際に健康づくりに取り組む方々の意見を聞き、実際に試してみて、さらにブラッシュアップしていくことが大切になります。
それにかかる手間と時間を憂慮する意見があるものの、せっかく積み上げた議論の結果を、一気に崩して、また積み上げていく作業に比べたら大したことではないはずです。
健康の維持と病気の予防を目的とした行動は、今やっていることで効果が感じられなかったら次のことに手を出すのではなくて、今までやってきたことのバージョンアップによってよい結果が出せるように取り組むことが大切だと考えています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕