健康・火の用心30 “失笑”を生む健康行動

そんなことをしていても健康にはなれない、無駄な努力だというときに、“失笑”という言葉が使われることがあります。そんな失笑されるようなことで満足していないで、実際の健康効果が得られる方法に取り組むべきだということを言いたくて、「失笑されないように」と話していた健康づくりの指導者がいました。

そんなことを言っていると、それこそ失笑されることになりかねません。間違っていると言っている人が、実は間違っているという例の話です。

失笑のことを「笑いも出ないくらいに呆れること」という意味で使っている人は多くて、文化庁の「国語に関する世論調査」の結果では約60%を占めています。それに対して、「こらえきれず吹き出して笑う」という意味で使っているのは約30%と、半分になっています。

どちらが正しい使い方で、どちらが誤用なのかというということですが、正しいのは少数派のほうです。

辞書の最高峰とされる広辞苑では、失笑は「おかしさに堪えきれず、ふきだして笑うこと」と書かれています。それは“笑ってはならないような場面”という状況で、決して笑ってはいけない状況なのに、笑ってしまうほどのことで、誤用しているのに気づかずに堂々と主張していると失笑されてしまいます。

だからこそ、誤用には注意をしなければならないし、失笑されないように正しいことを言わなければならないし、それが健康に関わることであったら、なおさらのことです。

失笑の対象が、どんな健康の話なのかということを強調するのは問題も起こりそうなので、一般的に言われていることを例にすると、食べたいものを我慢をするダイエット、極端な糖質制限、吸収されないタイミングでのサプリメントの摂取ということになるかと思います。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕