健康・火の用心38 “早起きは三文の徳”の意味

“早起きは三文の徳”という言葉を聞いて、「三文とは随分と少ないのでは」と思う人も少なくありません。文(もん)というのは江戸時代に使われていた貨幣の単位で、落語の「時そば」は一杯が十六文のそばの代金を誤魔化そうとして失敗をするという話です。

三文は、確かに安い価格で、それだけの徳(得と表現されることも)しかないくらい、「早起きをしても価値がない」という意味で使っている人もいます。

三文というと三文判というのは安い認め印のことで、三文小説というのは安価で低俗な小説を指しています。

少しだけの徳であっても、毎日の積み重ねであると年月が経つと相当の価値になります。だから、早起きをするようなことでも続けることが重要で、小さなことをコツコツと重ねていくことが推奨されています。これこそ健康づくりにつながる発想です。

三文に価値があるというのは、もともとは歩くことでも価値があるという意味が発祥という説があり、それは土佐山内家の執政の野中兼山が取水のための堰(せき)を造ったときに、堤を踏み固めるために早起きをして歩いた人に褒美として三文を与えたというものです。普通なら歩いたからといって何も得にはならないことでも、お金になり、褒められるという意味だと説明されています。

もう一つの説は、奈良での出来事で、家の前に鹿の死骸があると三文の罰金が課せられたことから、できるだけ早く起きて、鹿の死骸がないか確認する、あった場合には起きるのが遅い隣の家の前に移動させるということがあったということに由来しています。

“三文の徳”という、得ではなくて徳を使う場合には、世の中に役立つように早起きをして歩くことを推奨したというウォーキングとつながるほうを採用したいところです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕