代謝促進成分は、脂肪酸に対してはL‐カルニチンが、ブドウ糖に対してはα‐リポ酸があげられます。
L‐カルニチンは脂肪酸を細胞のミトコンドリアに取り入れるときに必要な成分で、脂肪酸はL‐カルニチンと結びつくことによってミトコンドリアの膜を通過することができます。ミトコンドリアに取り込まれた脂肪酸は高エネルギー物質のアセチルCoAに変化して、エネルギー産生を担うTCA回路へと送られていきます。
α‐リポ酸は糖質のブドウ糖がTCA回路で使われるアセチルCoAに変化するのを促進する作用と、TCA回路内の補酵素として働いてエネルギー代謝を高める作用があります。
L‐カルニチンもα‐リポ酸も以前は医薬品の成分であったものが、食品の成分としても認められたもので、ともに今ではサプリメントの成分として使われています。
α‐リポ酸はブドウ糖への作用だけでなく、ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸から変化したアセチルCoAからエネルギーを作り出す仕組みにも作用するので、L‐カルニチンと同時にα‐リポ酸も使うことでエネルギー代謝が高まり、ダイエット効果もエネルギー産生による生命活動の向上も高まります。
ところが、私たちがエネルギー代謝を高めるために使っているのはL‐カルニチンだけです。L‐カルニチンは体内では必須アミノ酸のリシンとメチオニンを材料にして肝臓などで合成されています。サプリメントのL‐カルニチンは体内の合成と同じ仕組みで作られています。
それに対して体内で合成されるのと同じ形の天然のα‐リポ酸(R体)は胃液で分解されて、α‐リポ酸ではなくなってしまうという弱点があります。そのため、サプリメントには化学合成型(S体)のα‐リポ酸が使われています。S体の化学構造式はR体と同じなのですが、左右が逆転した裏返しの状態になっています。そのために分解されにくいというメリットがある反面、デメリットもあります。それは動物試験の結果、ペットフードには健康被害があって使えないということです。
人間に対してのS体のα‐リポ酸の安全性試験は行われていません。というのは、動物で害があることがわかっているものは人間で試験ができないという道義的な面です。人間で試験をしていないので、危険性が確認されていないということで、サプリメントに使うことが禁止されていないという不思議なことがあります。だから、あえて使うことはないという判断をしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕