健康寿命延伸のための提言26 提言のエビデンス3食事4

国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。提言のエビデンスの解説(第4回)を紹介します。
大豆製品を多く摂取することによって、脂質異常症の改善、循環器病予防につながります。発酵性大豆食品を多く摂取することによって、早死、血圧高値、がんの予防につながります。日本人を対象にしたコホート研究では、発酵性大豆食品の摂取量が多いほど、死亡全体のリスクが低下していました。死因別に見ると、循環器病による死亡リスクの低下が顕著でしたが、がん死亡との関連はみられませんでした。
大豆製品を多く摂ることによって脂質異常症のリスクが低下することが、複数のメタ解析で示されていて、女性で特に脳梗塞や虚血性心疾患のリスクが低下することから、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」では、大豆を多く摂取することが推奨されています。また、みそ汁を多く摂取することによって、乳がん、肺がんのリスクが低下する可能性も示されています。さらに近年、発酵性大豆製品を多く摂ることによって、血圧高値になりにくいということが明らかになっています。
大豆摂取量が日本より少ない海外では、妊婦において尿中のイソフラボン量と脂質異常症やインスリン抵抗性の関係を調べた小規模研究では、尿中イソフラボン量が多いほど空腹時血糖、インスリン量、HOMA–IR指数、中性脂肪値が低かったことが報告されています。また、日本で実施された小規模研究では、大豆食品摂取が多い妊婦ほど、妊娠中のうつ症状が少なかったことが報告されています。一方、子どもでは、大豆イソフラボンは小児の二次性徴には影響を与えず、成人後の乳がんリスクを低下させることが報告されています。