国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。提言のエビデンスの解説(第7回)を紹介します。
甘味飲料というと糖尿病との関連性が指摘されています。世界の17の前向き研究のメタ解析によると、甘味飲料の1日当たりの摂取量が250ml(中央値)多くなると、糖尿病のリスクが1.3倍高くなると推計されています。なお、日本人を対象とした研究でも、甘味飲料を多くとると女性で糖尿病リスクが高くなることが示されています。
同じ研究から、甘味飲料をほぼ毎日飲んでいると、女性で脳梗塞発症リスクが増加する一方で、出血性脳卒中や虚血性心疾患については、男女とも甘味飲料との関連はなかったと報告されています。甘味飲料には、さまざまな疾患の発症との関連が指摘されている異性化糖が多く含まれたものがあります。異性化糖は、ブドウ糖と果糖で構成される液状の糖で、デンプンから作ったブドウ糖を酵素などによって化学構造を変えて果糖にしたものです。
妊娠を予定している男女を対象とした前向きコホート研究で、甘味飲料の摂取量が多いほど妊孕性が低下することが指摘されています。また、妊娠を対象とした前向きコホート研究では甘味飲料の摂取量が多いほど生まれてきた子どもの肥満のリスクを増加させることが報告されています。
5歳までの甘味飲料の摂取量が多いほど、将来の肥満のリスクが増加することが小規模な観察研究で報告されています。また、小児期の甘味飲料の摂取によって注意欠如・多動症リスクが増加すると報告されています。そのほかに、20の研究メタ解析から、子どもの人工甘味料の摂取が多いほど肥満になりやすいこともわかっています。