国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。提言のエビデンスの解説(第3回)を紹介します。
妊娠中に身体活動を行うと、妊娠中の体重増加を抑制できて、妊娠合併症と帝王切開出産のリスクが低下することが報告されています。日本の大規模コホート研究でも、運動を定期的に行っている妊婦では早産と器械分娩のリスクが低くなることが報告されています。
18歳未満の身体活動量については、定量的な推薦はありませんが、積極的に身体活動に取り組み、子どもの頃から生涯を通じた健康づくりが始めるという考え方を育むことが重要であると考えられています。体重過多の児童において、運動には肥満改善効果が認められ、特にエアロビクスなどの有酸素運動での効果が強かったと報告されています。
厚生労働省は「健康づくりのための身体活動基準2013」の中で、18〜64歳では身体活動量の基準として「3メッツ以上の強度の身体活動(歩行またはそれと同等以上の身体活動)を1日60分行うこと」、その中に「3メッツ以上の運動(息がはずみ汗をかく程度の運動)を1週間に60分程度行うこと」が含まれることを推奨しています。
1メッツ・時に相当する身体活動とは、生活活動としては20分の歩行、15分の自転車や子どもとの遊び、10分の階段昇降、7〜8分の重い荷物運び、また運動としては20分の軽い筋肉トレーニング、15分の速歩やゴルフ、10分の軽いジョギングやエアロビクス、7〜8分のランニングや水泳などが該当します。また、65歳以上の基準としては、強度を問わず10メッツ・時/週、具体的には横になったままや座ったままにならなければどんなことでもよいので、身体活動を毎日40分行うことを目安としています。