国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。提言のエビデンスの解説(第1回)を紹介します。
健診を受けて、特定保健指導を受けることにより、血糖値が20〜30%改善するというエビデンスがあります。2008年に特定健診を受診した約2,000人のうち、2011年も特定健診を受診し、降圧薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬を内服せず、糖尿病でない受診者について、保健指導受診群と非受診群とで比較したところ、受診群では非受診群に比べ、3年後にメタボリックシンドロームと診断される割合が31%低く、内臓肥満も33%低かったことが確認されました。また、受診群は血圧、中性脂肪、HbA1c、HDLコレステロールも有意に改善していました。
健診結果を踏まえて、医療機関の受診や生活習慣の見直しを行うことが必要です。例えば、日本糖尿病学会は、健診で血糖高値を指摘された場合に、重症化予防また他の重篤な疾患の発症予防という観点から、かかりつけ医を受診することを推奨しています。
検診により死亡を減少させるためには、有効な検診を正しく実施する必要があります。特に、がん検診の有効性については、最新の知見に基づいて継続的に評価を行うことを政策決定の基礎としており、詳細な手順が公表されています。また、がん検診には利益と不利益があり、これらのバランスを勘案した上で、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(厚生労働省)に、対象となるがん種、年齢、検査方法、検査間隔が推奨されています。また、職域においてもその方法などが、「職域におけるがん検診に関するマニュアル」(厚生労働省)において推奨されています。
※「健診」とは健康診断の略であり、健康状態を調べ、病気のリスク因子を早く見つけることで、病気の発生そのものを予防する一次予防を目的としています。一方、「検診」は、がん検診などのように特定の病気を早期に発見・治療するための二次予防を目的としています。