国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。その要点の後半を掲載します。
〔食事〕
◎甘味飲料は控えめに。
*甘味飲料の摂取により、糖尿病のリスクが増加します。
*甘味飲料の摂取によって妊孕性が低下しやすくなります。また、妊娠中の甘味飲料の摂取により、生まれてきた子どもが肥満になりやすくなります。
*子どもの甘味飲料の摂取により、その子どもの肥満リスクや発達障害になるリスクが増加する可能性があります。
◎年齢に応じて脂質や乳製品、たんぱく質摂取を工夫する。
*脂質(飽和脂肪酸)をとりすぎないことは動脈硬化・虚血性心疾患の予防に有効であることが期待されます。一方で、飽和脂肪酸の摂取を推奨する介入研究からのエビデンスはありませんが、飽和脂肪酸が不足すると脳卒中が増加する可能性は否定できません。高齢者では低栄養予防の観点から適度な脂質摂取が好ましい場合があります。
*乳製品の摂取により成人や高齢者では動脈硬化性疾患のリスクが低くなります。
*子どもでは、全乳および乳製品を摂取していると肥満になりやすいと考えられています。
*たんぱく質のうち、植物性たんぱく質の摂取割合が多いと死亡リスクが低くなります。
*高齢者のサルコペニア予防には十分なたんぱく質摂取が必要です。
*子どもの低出生体重の予防には、妊娠中は適度なたんぱく質の摂取が必要です。
◎多様な食品の摂取を心がける。
*DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食、地中海食は循環器病の予防につながります。
*米や魚、野菜の多い食事パターンや地中海式の食パターンは妊婦自身と子どもの両方の健康によい影響を与えます。