健康思想16 統合的な健康づくり

全身の働きの関係に着目して、統合的に健康づくりをすることは「integrative health」と呼ばれています。これを日本語で検索すると「統合的な健康」となって、表現的に少し違和感がある訳語が出てきます。

このほかに「統合医療」という用語も出てくることがありますが、これは「health」ではなくて「medicine」が相応しいので、本来なら「integrative medicine」の訳として表示されるべきです。

英語のまま表現するほうが、しっくりとすることもあるとしても、まだ「integrative health」は浸透しにくいところがあります。中には「統合健康」という訳が示されることがあるのですが、「統合的な健康」よりも、もっと違和感があります。

英語表記は使っているうちに馴染んでくることもあり、「メタボ」といえば今では多くの人が内臓脂肪が多く蓄積された肥満を想像できるようになっています。メタボはメタボリックシンドローム(metabolic syndrome)を略したもので、内臓脂肪症候群と訳されています。

metabolicは代謝のことで、そのsyndrome(症候群)なので、正確には代謝低下症候群、代謝異常症候群と訳されるべきです。しかし、メタボ、メタボ症候群と呼ばれるのがほとんどで、使っているうちに違和感がなくなった代表のようなものです。

ロコモも同じような感じで、これはロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)を略したものです。ロコモティブは移動する能力を表しているので、移動する能力の不足、衰えを示しています。

integrative healthは統合的な健康という状態を示すよりも、行動を示す「統合的な健康づくり」のほうが、まだ浸透しやすい感じがします。この答えを出すのは、自分が納得できる状態になるまで待つ“我が胸に問う”ということで、もっと先でもよいかもしれません。

ただ待つのではなく、判断する自分を高めていくことが大切であり、そのためのインプットは続けていかなければなりません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕