家庭用の食器洗浄機に台所用洗剤を使ってはいけないと解説書に書かれています。食器洗浄機用の洗剤には酵素、漂白剤、アルカリ剤が含まれています。アルカリ剤には洗浄効果と除菌効果が求められています。
これに対して業務用の食器洗浄機に使われる洗浄剤は強アルカリ性で、細菌、ウイルスを取り除くために使われています。病院や福祉施設に限らず、食事をする人の中には感染性の病原菌がある人もいて、すべての人が口元まで持っていった食器が厨房に戻ってきて、食器洗浄機にセットされます。
これを取り除くのが除菌です。除菌は菌を取り除くだけで、殺菌とは異なります。殺菌は菌を殺すことで、医薬品と医薬部外品にだけ表示が許可されています。殺菌と同じ効果があっても、医薬品・医薬部外品でないものは除菌と表現されるということです。取り除かれた菌が、どこに行くのかなどと気にすることはないわけです。
業務用食器洗浄機の除菌は、洗浄剤だけで行われているわけではありません。除菌には温度も重要で、食器の表面の温度が71℃以上になったときに除菌されます。それに合わせて、洗浄液の温度(60〜70℃)、すすぎ洗いの温度(70〜80℃)、仕上げのリンスの温度(90℃)が決められていて、徐々に温度を高くしていきます。すすぎ洗いだけの場合には90℃となっていて、これで71℃の温度となります。
このような食器洗浄機の温度調整が的確なら除菌は的確にされるのですが、71℃以上の食器は熱く感じて、業務用では大量に洗浄するので熱いと作業が進みにくくなります。そのために勝手に温度設定を下げて作業をしている現場もあります。
90℃の温水を吹きかけると蒸気が多く発生するので、扇風機を使っているところもありますが、食器に風が当たったら食器の表面温度が下がってしまいます。これは指導する食器洗浄機や洗浄剤の販売店によって禁止行為とされているのに、たびたび洗浄現場では目にすることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕