健康情報は、単純にいえば「健康に関する情報」ということで、特別に固定された意味合い(定義のようなもの)はないと一般に認識されています。曖昧さがある用語で、受け手の気持ち次第で、どのようにも解釈される可能性があります。
そのために、扱いやすくもあり、また逆に扱いにくい用語でもあって、これを研究分野とする人はいたものの、学問として扱おうという人はいませんでした。絶対にいないとは限らないのですが、少なくとも多くの人を巻き込んで一大旋風を巻き起こそうというムーブメントは見られませんでした。
健康情報は学問として取り扱われなかったとしても、健康関連の世界では健康情報は“取り扱い注意”の対象として避けられてきたところがあります。特徴的なところとしては健康診断の世界があげられます。
健康診断を受けた結果としての個人の健康情報は、機密性が高い情報であることから、管理が重要なテーマとなっています。個人の健康情報が外部に漏れるようなことがあると、仕事や学業の継続にも影響が出てくることになります。
プライバシーが守られないとしたら健康診断を受けたくない、受けることを拒否するということにもなりかねないところですが、健康診断は労働安全衛生法によって事業者は従業員に受けさせる義務があり、また従業員は健康診断を受ける義務があります。
これは従業員が1人であっても定期的(1年以内)に健康診断を実施する義務があります。
事業者は健康診断を実施しないときには法律によって罰則があります。従業員には罰則はないものの、事業者によって健康診断を受けることが再三促されることになります。
個人の健康情報は、企業や団体などでは業績の基本であり、健康状態の変化は、そのまま企業・団体の健康状態(売上や成長など)の変化にも結びついています。
健康診断の結果は、従業員にとっては個人情報であり、個人で知ることはあっても、その詳細を他の人に知られることはあってはならないという意識があります。
ところが、事業者にとっては従業員の健康診断の結果は企業などの重要な診断結果にもなり、それを知らないこと、その結果を活かせないことは、病気に気づかず、病気を悪化させることを平気で続けているのと同じことになります。
健康情報は個人だけでなく、集団にとっても把握しておきたい重要な情報となるわけですが、その重要性に気づいていない人も多いのが現実です。そのような人や団体などであっても、健康情報を活かして心身ともに健康であり続けてもらう方法を研究していくのが健康情報学であり、その情報は必要とする人に的確に届けられて初めて、その存在価値が認められることになるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕