千葉大学予防医学研究センターの研究チームは、近隣の生鮮食料品店、公園や歩道など8種類の地域環境と介護費用との関連について、国内7市町(岩沼市、柏市、中央市、名古屋市、碧南市、常滑市、武豊市)の3万4982人(男性1万6650人、女性1万8332人)の高齢者(平均年齢73.5歳)を2010年から約9年間追跡したデータを分析しました。
その結果、追跡期間中に21.6%の高齢者が介護保険サービスを利用しました。8種類の地域環境のうち3種類で介護費用との統計学的に有意な関連がみられました。生鮮食料品店が近くにあると回答した者は、近くになると回答した者と比べて介護費用が1人当たり月1367円低い結果でした。
一方で、予想と反して、夜歩くのが危ない場所があると回答した者では、ないと回答した者と比べて介護費用が月1383円低く、立ち寄りやすい施設があると回答した者は、ないと回答した者と比べて介護費用が月739円高い結果でした。
この結果に基づくと、生鮮食料品店が近くにある者は、介護費用が1人当たり月1367円低いと、高齢者1万人が生鮮食料品店の近くに住むことで介護費用が年間約1億6000万円抑制できる計算になります。
また、生鮮食料品店が近くにないと回答した8740名の近くに生鮮食料品店ができたとすると、月に約1200万円、1人当たり約5.6%の介護費用を低減できる計算になります。
影響の程度を先行研究と比較するために、6年間の追跡データを分析したところ、生鮮食料品店が近くにある者は、ない者に比べて、期間中の累積介護費用が1人当たり約3万4000円低い計算になりました。
就労者は非就労者に比べて、6年間の累積介護費用が1人当たり約6万円低いことが報告されています。生鮮食料品店のある環境は、鐘楼が介護費用の低減に与える影響には及ばないものの、その6割程度のインパクトを有していることが明らかになりました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕