健康情報11 高齢者の体脂肪と血糖値の関連性

脂肪細胞に蓄積される体脂肪が多いと血糖値が上昇しやすいことは以前から指摘されていて、その傾向は高齢者で高く、血糖値が高いと体脂肪を減らすことが重要だと言われてきました。

順天堂大学大学院医学研究科とスポートロジーセンターの研究グループは、文京区在住の高齢者1438人を対象とした横断研究によって、内臓脂肪蓄積が高齢期の糖代謝異常に強く関連する因子であることを明らかにしました。

超高齢社会の日本では、新規に診断される糖尿病や境界型糖尿病の発症率が増加していますが、耐糖能悪化の原因として、高齢者(60歳以上)は若年者(20〜39歳)と比較してインスリンの分泌能力の低下とインスリン抵抗性の増加が認められています。

インスリン抵抗性はインスリンが分泌されているにも関わらず、働きがよくない状態を指しています。

これまでの研究は高齢者と若年者の研究が多く、高齢者は加齢によって変化するのか、変化するとしたら何が重要な因子となっているのかは解明されていませんでした。

研究の対象となったのは、糖尿病既往がなく、糖尿病の診断に用いられる検査の75g経口糖負荷検査のデータが揃っている65〜84歳の人で、体組成検査、内臓脂肪と皮下脂肪の面積測定、採血・採尿検査、糖負荷検査、生活習慣に関連するアンケートを行い、5歳ごとに4群に分けて比較されました。

その結果、高齢群ほど正常耐糖能の人の割合は低下し、新規に診断された糖尿病の割合が増加しました。インスリン感受性とインスリンを分泌する能力は加齢とともに低くなっていました。

この研究によって、内臓脂肪の蓄積や血液中の遊離脂肪酸がインスリン抵抗性やインスリン分泌の低下と関連していて、高齢者は食事や運動によって体脂肪と遊離脂肪酸を減らして体組成を改善させることが糖尿病の悪化を防ぐことにつながることが示されました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕