厚生労働省は、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を発表しました。前回の趣意に続き、アルコールの代謝と飲酒による身体等への影響について紹介します。
◎アルコールの代謝と飲酒による身体等への影響について
(1)アルコールの代謝
飲酒した際、飲んだお酒に含まれるアルコールの大半は、小腸から吸収され、血液を通じて全身を巡り、肝臓で分解されます。アルコールの分解には、体内の分解酵素が関与していますが、体質的に分解酵素の働きが弱い場合には、少量の飲酒で体調が悪くなることもあります。
※肝臓でアルコールはアセトアルデヒドに分解され、さらに酢酸へと分解されます。酢酸は筋肉や心臓に移動して、さらに分解され、最終的に炭酸ガスと水になります。
(2)飲酒による身体等への影響
アルコールは血管を通じて全身を巡り、全身の臓器に影響を与えるため、飲み過ぎた場合には、いろいろな臓器に病気が起こる可能性があります。飲酒による影響には個人差があり、例えば年齢、性別、体質等の違いによって、それぞれ受ける影響が異なります。主な身体への影響として、以下のような特有の状態変化や固有のリスクなどが生じる可能性があります。なお、体調など個人のその時の状態にも左右されます。
①年齢の違いによる影響
高齢者は若い時と比べて、体内の水分量の減少等で同じ量のアルコールでも酔いやすくなり、飲酒量が一定と超えると認知症の発症の可能性が高まります。あわせて、飲酒による転倒・骨折、筋肉の減少(サルコペニア等)の危険性が高まります。
※サルコペニアとは、加齢に伴う骨格筋量低下に加え、筋力及び/又は身体機能が低下した状態のことです。
10歳代はもちろん20歳代の若年者についても、脳の発達の途中であり、多量飲酒によって脳の機能が落ちるとのデータがあるほか、健康問題(高血圧等)のリスクが高まる可能性もあります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕