長時間のメディア利用について、富山大学学術研究部医学系健康政策学講座の研究グループは、富山県内の小学生を対象とした研究から長時間(平日に3時間以上)の利用の分析を行い、個人だけでなく地域(学校区)との関係に関する新たな知見を得て、発表しました。
これは2018年の4〜6年生の小学生1万3413名を対象にメディアの利用時間と生活習慣、健康、家庭環境などのデータについて調査したものです。富山県内の全小学校185校のうち110校(59.5%)が参加しました。その結果、平日のメディア利用(勉強以外)が3時間を超える児童(長時間利用者)は約3割でした。
平日2時間以上のメディア利用の児童は54.2%(男子59.4%、女子48.8%)、平日3時間以上の利用は28.8%(男子34.9%、女子24.8%)でした。
長時間利用者の割合を見ると、就寝時間が遅い(10時以降39.2%、11時以降60.7%)、運動しない(45.3%)などの不健康な生活習慣の児童に多いことがわかります。また、イライラが多い(44.2%)、登校拒否感情が頻回(46.8%)といったメンタルヘルスの不良、授業の理解度が低い(45.7%)、親子で会話がない(48.7%)、家庭でのルールがない(45.2%)ことも長時間利用者が多い結果でした。
学校区においてルールのない家庭の割合を見たところ、ルールのない家庭が多い学校区の児童(37.2%)は、少ない校区に比べて長時間利用の割合(19.8%)が2倍でした。これは個人の変数を考慮したマルチレベル分析においても有意に高い結果でした。
この結果から、学校区でルールのない家庭が多いことは児童が長時間利用となるリスクであることを示しています。
長時間のメディア利用の対策には、子どもが規則正しい生活習慣を持つことを基本として、親子の会話を増やす、家庭でルールをつくることに加えて、学校区で協力してルールを持つ家庭を増やすことが重要であり、子どもは地域で育てるという意識が重要となることを示しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕