2型糖尿病予防には、食生活・運動習慣の改善や、肥満者では体重減量が必要で、そのためには生活習慣記録と適切なフィードバックと2型糖尿病に関する正しい知識が必要です。
しかし、実際には健康診断などで糖尿病予備群と判定されても、本来行われるべき本格的な糖尿病への移行を予防するための保健指導は、医療者、本人の双方にとって多くの時間と労力を要するため、十分行われていないのが現状です。
多くの人が持つスマートフォンのアプリに、糖尿病治療で使用される持続血糖測定や適切な教育コンテンツを組み込めば、医療者、本人双方の時間と労力を節約しつつ、多くの人を対象とした効率的な2型糖尿病予防対策が可能になると考えられます。
新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科学研究室の研究グループは、SONPOひまわり生命保険、シンクヘルスと産学共同研究を行い、持続血糖測定を活用した新しい2型糖尿病予防のためのスマートフォンアプリを含むプログラムを開発しました。
この2型糖尿病予防のためのスマートフォンアプリを含むプログラムの有効性を調べるために、3か月間のランダム化比較試験が行われました。
臨床試験には、糖尿病予備群(HbA1c5.6%〜6.4%、空腹時血糖値110mg/dl〜125mg/dl)で体重が多め(BMI25kg/㎡以上)の方々179名が参加して、半分の方のみ、この新しい2型糖尿病予防・教育アプリを3か月間使用してもらい、使用しなかった残りの半分の方と、血糖値、体重、食事摂取量、身体活動量などの改善度を比較しました。
アプリを使用した群では、使用しなかった群と比較して、体重が0.93kg減少し、正常な血糖範囲(70〜140mg/dl)に入っている時間が、1日あたり33分増加し、炭水化物摂取量も1日あたり18g減少しました。これらはいずれも統計学的に有意でした。
また、アプリを使った人では、現行ガイドラインで糖尿病予防に有効とされる2kg以上の体重減少を達成した人が、使用しなかった群と比較して約2倍増加しました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕