健康情報74 子どもの食物アレルギーで親の育児ストレスが増加

食物アレルギーがある子どもと、その家族について、これまで食物アレルギーが不安や生活の質の低下と関連するという報告は多くありました。

しかし、子どもの食物アレルギーの種類や数による親の育児ストレスに関する報告はありませんでした。

国立成育医療研究センター・エコチル調査研究部・アレルギーセンターの研究グループは、子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)6万5805人のデータから、子どもの食物アレルギーと親の育児ストレスの関連性について分析を行いました。

2011年1月から2014年3月までにエコチル調査に登録した北海道から沖縄まで日本全国15の地域の親子を対象としています。

分析した結果、子どもに食物アレルギーの診断があると、親の育児ストレススコアが有意に高くなることが明らかとなりました。

また、子どもの食物アレルギーの種類別の分析でも、鶏卵アレルギーについて同様の傾向が見られました。ただし、牛乳、小麦、ナッツのアレルギーでは明確な関係性は認められませんでした。

鶏卵アレルギーは日本で最も一般的な食物アレルギーですが、日本では多くの加工食品や菓子類に鶏卵が含まれており、親は常に意識する必要があることから、他の食品よりもストレスが大きくなる可能性が考えられます。

なお、今回の研究は重症度を考慮した結果ではないので、重症度を考慮した、さらなる調査も必要と考えられます。また、医療提供者は、食物アレルギーを持つ子どもの親のストレスに注意を払いながら、日常での診療を行う必要性があります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕