里山資本主義は、水と食料、燃料を地元でまかなう安心安全のネットワークづくりを指しています。その象徴として里山が掲げられているわけですが、これに加えたいキーワードとして“健康”を提唱しています。地元の資産を活用して、まずは何があっても、例えば感染症対策として自治体の住民を守るために周囲と遮断されるようなことがあっても、生きていくために必要な生活資源を確保することは当然に必要なことです。
生き抜くための条件が整えば、それでよいというわけではなくて、最低限の生活では健康の維持・増進を求めるのは困難になります。地域の現状と自分や家族の状態に合わせて、どのように活動をすればよいのかを考え、これが正しいと判断したら、そのとおりに実践をすることは健康づくりには必要で、そこまでの活動をすることが、まずは提唱されます。
地域の資産を活かすには、その中での住民が動くだけでなく、周囲の地域から、できることなら裕福な(余裕がある)人たちが暮らす地域から集客して、地域にお金が落ちるようにすることも望まれます。感染拡大で、人口密度が高い地域からの移動は自粛してもらわなければならないご時世には、来てもらわなくても潤うことができるように地域の特産物を通信販売などで購入してもらうことも考えなければなりません。
ただ来てもらう、買ってもらうということでも、お金は回るかもしれませんが、地域の健康に結びつけなければ、健康資本主義を提唱する価値はありません。観光に来てもらう人たちには、地域の健康づくりにつながる資産を活用した運動や健康のプログラムを体験してもらいます。そのプログラムは住民にも提供されていて、一定の効果・結果をもとにして来てもらった方々にも実感してもらいます。そのためには、住民が積極的に参加して、健康度が高められるのが条件となります。その条件をかなえるためには、単に健康教室を開催するのではなく、例えば資格認定、指導者育成などを実施することも提案させてもらっています。
このいった活動で資金が得られるようになったら、それを次の世代の育成に使っていく資本とする、これこそが健康資本主義につながると考えています。