健康食品の法規制16 内容確認は販売事業者の役割

健康食品の医薬品的な効能効果を表示・表現しての販売はできなくても、素材の有効性を述べることは禁止されてはいません。もちろん、表示することは真実である必要があるのですが、真実であることを販売事業者は確認しなければなりません。それも話し言葉で伝えられた、メモ書きで伝えられたということではなくて、書面で確認しておく必要があります。

この書面も、「書かれていることは間違いないです」という手紙のようなものではなくて、産地の証明や裏づけ資料がなければ、内容を確認したことにはなりません。

健康食品に使われている素材が、他の商品と同じ名称であったとしても、中身が一緒だとは限りません。実際に効能効果があり、消費者に信用されている素材であると、名称が一緒だと中身も同じだと思ってしまいがちですが、天然素材の場合には、さまざまな条件で内容が異なっています。

種類が同じなのか(大きな植物分類では仲間であっても小さな分類では別物)、産地が同じなのか、収穫時期が同じなのか、同じ部位が使われているのか、収穫してからの保存法は同じなのか、加工法が同じなのか、ということです。素材はまったく一緒であっても、一緒に組み合わせる素材によって有効性に違いが出てくるのは当然のようにあることです。

以上にあげたようなことで違いが出てくるので、その素材を使うときには、中身まで一緒なのか確認をしておくことが必要です。そして、最初の使った素材と、現在の素材が同じなのかも確かめておくことも当然のように求められます。

素材の輸出業者、製造会社が中身を変えてきたことがわからず、異なったものを販売していた例もあります。製造のコンサルタントが勝手に安い成分に変えさせたという例もあります。さらに中には悪意ではなく、“好意”で変えてきた例もあります。こちらの成分のほうが有効性が高く、価格も一緒だから問題はないだろう、という言い分です。

効能効果を表示して、これが取り締まられたときも、効能効果について販売事業者が製造事業者などから書面で知らされて確認をしていたのか、ただチラシやメモ書き程度のもので確認をしたのかによって、処罰の厳しさが違ってきます。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕