健康食品の法規制21 効能本の発行スタイル

健康食品の効能効果を述べただけで、商品名も出ていない、もちろん販売会社の名前も問い合わせ先も出ていない本は“バイブル本”と呼ばれます。書籍であっても実質は広告になっているということで、何度か取り締まりを受けています。以前は、バイブル本は書店の健康コーナーの棚の多くを占めていましたが、今では随分と少なくなっています。バイブル本を発行する出版社は以前は10社以上もありました。

一般の書籍の発行形態は、著者は原稿を書くだけで、販売数に応じた印税を受け取ることができるというスタイルです。印税は通常は8〜10%となっています。これに対してバイブル本は通常の書籍の発行とは違って、著者は原稿の買い取りが多く、場合によっては資料をもとにライターが原稿を書いて、著者が目を通して内容の確認をするという場合もあります。

この場合には著者として書籍に名前は出ていても、実際は監修者のようなもので、監修料というか名前貸しのような形で10万円ほどを受け取るだけという例もあります。

著者もしくは著者に関わる健康食品の販売会社が出版社に協力費などの名目で、お金を支払って発行するというスタイルもあります。「書籍の定価×部数」を支払う形のほかに、1部あたり1000円として3000部を買い取り、300万円で発行してもらうというのが、よくある形です。

書籍としては5000部を印刷して、そのうち2000部を書店で販売して、残りを買い取るという形になるわけですが、これでも書店で販売されるだけよいほうです。書店では販売されずに、広告を書籍の形にしただけということもあります。

このようなことがあるので、健康食品の有効性について書かれた書籍を見せられたときには、どのようなスタイルの発行なのかを確認するのが業界の常識になっていて、書籍を示して健康食品を販売するための広告でも厳しくみられるようになっています。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕