健康食品の効能効果を表示して販売することはできないとされているのに、素材の効能効果を表示して、販売会社の連絡先を明記して、広告チラシを新聞に折り込みしている会社が過去にはありました。過去には、というのは今ではないということです。
なぜ、過去には可能だったのかというと、「一事不再理」という原則があるからです。これは過去に刑事事件で判決が確定している場合には再度審理することを許さないという刑事手続上の大原則です。
つまり、無罪の判決が下ったものは、再び裁判にかけられることがなくて、健康食品の場合には医薬品的な効能効果を述べて販売することに問題がないとされます。だから、平気で効能効果を述べたチラシを配布して販売されていました。
これは裁判で勝訴したという事実があって、それを裏付けにして販売しているのであって、他の商品が同じような表示をして販売することは、望んでも不可能なことです。
ところが、このチラシを持ってきて、同じように販売したいという会社が出てきます。これは望んでも過去に裁判で勝訴したことがなければ無理なことです。もしも勝訴していたとしても、これを根拠にして効能効果を述べて販売していた会社も、あまりの言い過ぎが医薬品的な効能効果に該当するということで、今では規制されています。
これは不可能なことだとして断るしかなかったのですが、他の事例でも依頼がありました。それは、乳酸菌が増殖して悪玉菌や病原菌を抑えていくシーンを使いたいとの依頼でした。
テレビコマーシャルで流されていたものを見ての依頼でしたが、これは健康食品としての乳酸菌の商品のコマーシャルではありません。その会社の研究成果を発表するためのコマーシャルです。そのときに使われていたキーワードと、商品の販売のためのコマーシャルが同じキーワードで、消費者は頭の中で合致させて、まるで商品の効能効果を画像で示しているように見えていました。
しかし、あくまでも研究発表と商品のコマーシャルは違うものであって、研究成果としてコマーシャルができる大手企業でなければ不可能なことです。それを求められても、普通の会社には無理だということを説明しています。そして、別の手法を提案させてもらっています。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕