健康食品の法規制32 目的と合致した素材なのか

健康食品を自社で製造して販売しているなら、有効性のコンセプトに合わせた商品を開発することはできても、製造を下請けに出していると、その会社から提案された素材の組み合わせを採用することも多く、ときには有効性を高めるつもりが、期待したほどではないという製品となっていることも少なくありません。

実際にアドバイスをした会社の例ですが、血糖値を下げる作用がある複数の素材を組み合わせて、より効果が得られるようになったので、それに相応しいPRと法律準拠の体制を作るように依頼をされました。

依頼を受けるつもりで、実際の素材の組み合わせを見せてもらったところ、多くの素材を組み合わせれば、それだけ効果が得られるわけではないというアドバイスをしました。その会社の場合は、もとから知り合いで、私が言っている意味がわかり、効果のある組み合わせをしてくれたからよかったものの、そういった反応をしてくれない会社のほうが多いのが現実です。

つまり、消費者の利益を優先させるのではなく、売りやすいほうを選択する会社が多いということで、それでは効果を実感して、継続して使用してくれる顧客を増やせないということにもつながっていきます。

何が問題だったのかというと、血糖値の改善を目的としたもので、サラシア、コタラヒム、グァバ葉ポリフェノール、桑の葉エキス、菊イモが組み合わされていました。どれも血糖改善の人気素材で、これを組み合わせたい気持ちはわからないではないのですが、すべてが同じ働きをするものでした。

これらの成分は、どれも胃で糖質をブドウ糖に分解する酵素のα‐グルコシダーゼの働きを抑制し、小腸からブドウ糖が吸収されるのを遅らせ、血糖値の上昇を抑えるという機能です。同じ機能があるものを複数組み合わせるのだったら、その中から有効性が高いものを選ぶか、消費者の志向に合わせて人気のものを一つ選べばよいわけです。

そして、血糖値の上昇を抑制する仕組みに着目して、糖質のブドウ糖への分解阻害、ブドウ糖の吸収阻害、ブドウとの細胞への取り込みの促進、ブドウ糖の代謝の促進、インスリンの分泌の促進というように、複数のアプローチをすることをすすめます。

血糖値が高い人は、その原因が一つではないことが多く、複数の原因であっても人によって原因の組み合わせが異なっています。どのような人にも効果が出ることを考えたら、多方面からのアプローチがよいことは理解できるはずです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕