健康食品は、同じ種類の素材が同じだけ使われていれば、同じ効果があるということを原則としています。機能性表示食品の場合には、すでに機能性が論文によって消費者庁に届け出されているものと同じ素材を同じだけ使ったものは、同じ機能を表示できるという制度になっています。
新たに健康食品を開発するときには、その考えに基づいて内容が決定されることがほとんどですが、そうとは限らないのが天然物から抽出した素材を使っている健康食品の難しいところです。
同じ素材名であっても、詳細な素材の種類、産地、収穫時期、使用部位、抽出法、加工法、他に加える素材の種類などによって有効性は異なります。信用のおける素材提供会社のものであれば有効成分のすべてが同じ原材料と信じてよいのかもしれませんが、異なる成分が使われたり、混ぜ物がされていたことが過去にはありました。
加工している会社が使っていた素材は同じだったものの、販売会社との間に入って開発やプロデュースしている人が、素材の量を減らすように指示していたということも過去には経験しています。見た目では、中身が判別できない健康食品の弱点をついた出来事です。
販売会社は、販売している商品の中身が表示どおりであるのか確認をする義務があります。素材は100%同じであったのですが、素材に等級があるものもあります。よく例に出されるのが田七人参やプロポリスです。産地では等級が存在していて、上位のものと下位のものでは内容も価格も大きく違っていて、下位のものを知らないうちに使われていた例もあります。
販売会社の中には、素材に等級があることを知らなかったということもあり、そのことから騙されて、結果として消費者を騙す結果になったという事例もあるのです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕