健康食品の法規制42 損害賠償の恐ろしさ

健康食品の表示の法律違反が指摘されたために販売ができなくなることがあります。健康食品を規制する法律の一つの医薬品医療機器法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は医薬品を守るための法律といえるもので、医薬品にしか許されていない医薬品的な効能効果などを表示して健康食品を販売した場合には、“無承認無許可医薬品”とみなされます。

医薬品は国の承認と許可を受けて販売されているもので、承認も許可にされていない医薬品は偽薬とされます。健康食品が“無承認無許可医薬品”とみなされた場合にも偽薬の扱いとなって、医薬品医療機器法によって厳しく取り締まられることになります。

その内容は販売停止、商品回収、罰金、謝罪広告の掲載などですが、健康食品の場合には販売ができなくなり、回収をしなければならないという例が多くなっています。

これで済めばよいものの、健康食品の販売形態によっては損害賠償が起こされることがあります。過去に実際にあった損害賠償の例では、同じ商品を販売する同業他社からの訴えです。1社が違反をしたために、その商品を販売することができなくなった会社から販売によって得られる収益がなくなったことで損害賠償が起こされました。

これを防ぐためには、中身が同じであっても商品名やパッケージが異なるOEMという方法があります。これは販売会社の製品を別ブランドで販売するもので、本来ならあってはいけないはずのことですが、法律違反を指摘されて販売ができなくなっても他社に迷惑をかけることはなくなります。

訪問販売は同じ商品を販売する形態で、いわゆるネットワークビジネスで他のグループが違反をしたことで迷惑を被っても、違反をしたグループのリーダーに対して損害賠償を起こすということは、これまでは考えられていなかったのですが、それが起こるようになっています。

実際に法的に訴えたのか、支払いが生じたのかは別にしても、販売できなくなり、脱退をしなければならなくなった例があります。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕