広告宣伝に用いる文書(新聞広告、ネット広告、チラシ、説明資料など)は、間違いがあってはいけないので、しっかりと確認してから人の目に触れるようにしているはずです。ところが、ミスをしてしまうことがあり、それを修正して仕切り直しをすれば、何事もなかったようにスルーできるというわけにはいきません。
文字は、まったく間違えてはいなかったのに、矢印の向きを間違ったために、表示の規制に引っかかって、取り締られた例があります。それは膝軟骨の改善に使われるグルコサミンとコンドロイチンを素材として使った健康食品の広告で、健康な状態の関節の図を示して、これが悪化すると軟骨がすり減った状態になると示すつもりだったといいます。
すり減った状態から健康な状態になるということを示したら、改善されることを説明したことになり、これは医薬品的な効能効果を表示したことになって取り締まりの対象となります。そのことをわかっていたので、「健康な状態→悪化した状態」を示して、その逆のことを消費者に察知してもらいたいという期待もあったようです。
ところが、世に出た広告では、「健康な状態←悪化した状態」と矢印の向きが逆になっていました。これでは注意していたはずの医薬品的な効能効果を堂々と出してしまうことになりました。
矢印の向きを間違っただけ、完全な校正ミスであると主張しても規制する側には通用しません。そもそも校正ミスをするような会社、ミスを指摘されるまで気づかないような会社は、しっかりとしていないので、注意深く観察しよう、注意を与えて正しく表示できるように指導しようということで、取り締まりされることがあります。
規制側としては、親切のつもりで厳しくチェックすることもあるのですが、そのような“親切な対応”がされないように、広告表示は徹底的にチェックすることが重要であるという話をするときに例として使うようにしています。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕