健康食品に医薬品と同じ効果を求める人は、あまりいないはずです。健康食品の中には、医薬品と同じメカニズムで効果を発揮するものがあるので、医薬品の効き目が弱いものという認識をしている人もいます。しかし、健康食品は、どんなに効果が得られるものであっても食品であって、医薬品とは異なります。健康食品は、どんなに効能効果があったとしても、それを表示して販売することはできません。効能効果の表示が認められているのは医薬品だけです。
医薬品しか効能効果を表示できないのは、法律によって規制されているからです。その法律は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で、「医薬品医療機器法」や「薬機法」と略されています。以前は正式名が「薬事法」だったので、なんともわかりにくい名前になってしまったわけですが、規制の内容は大きくは変わっていません。
この法律は、あくまで医薬品などに関わる法律なので、健康食品について書かれているわけではありません。医薬品でないものは効能効果の表示ができないことが明記されています。医薬品は病気の予防、治療、検査に使うもので、身体の機能に影響を与えるものも含まれています。健康食品は医薬品とは効能効果のレベルが違うといっても、身体の機能に影響を与えるものであってはいけないということで、それを表示して販売したら、「これは医薬品ですよ」と堂々と語っているのと同じことになります。
健康食品の実際の規制は法律に基づく取り締まりの通達に従っています。その名称は「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」といって、医薬品の定義が示されています。そこには効能効果があるもの、医薬品と同じ形状のもの、用法容量が示されたものは医薬品だとされています。効能効果は記載しなかったとしても、医薬品にしかない形で販売したり、使用者によって使い方を書いてはいけないことになります。つまり、「大人は◯錠、子供は◯錠」「食後に服用」ということは医薬品以外では書いてはいけないということで、用法容量を表示したら、「この健康食品は医薬品です!」と言って販売しているとみなされてしまうということです。