健康食品にもサプリメントにも、いつ摂ればよいのかという摂取タイミングは書かれていません。これは医薬品医療機器法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で医薬品が定義されていて、用法用量の表示は医薬品だけに許されていることだからです。いつ摂るかは用法に相当するため、表示することも記載や口頭で述べることも禁止されています。
しかし、健康食品は消化・吸収のメカニズムが明らかになっていて、摂取タイミングが異なると吸収率に違いが出たり、場合によっては吸収されないということも起こります。
ビタミンやビタミン様成分(ビタミンに似た働きをする成分)には脂溶性と水溶性の性質の違いがあって、脂溶性は脂肪に溶けてから吸収されます。胃の中に脂肪がない空腹時にサプリメントとして摂った場合には溶けることがなくて、小腸で吸収もされず、そのまま素通りすることになります。
水溶性のほうは水に溶けて吸収されるので、いつ摂っても吸収されます。胃の中には水分があり、ビタミンのサプリメントを飲むときの水だけでも溶けることができます。
この脂溶性と水溶性の両方のビタミンなどが含まれたサプリメントは、食後に摂ればよいことになります。
水溶性の成分であっても、食事の内容によって吸収率が異なるものもあります。その代表は代謝促進成分のL‐カルニチンで、たんぱく質との相性がよいので、食事でたんぱく質を摂るタイミングで摂取したほうが効果的に吸収させることができます。そのため、水溶性であっても食後に摂るべきだということがわかります。
L‐カルニチンは脂肪酸を結合して細胞の中のエネルギー産生器官のミトコンドリアに取り込むのに必要な成分で、体内で合成されます。合成はされるものの、そのピークは20歳代前半です。年齢を重ねると代謝が低下するのはL‐カルニチンの減少と関係することが確認されています。
代謝促進成分のα‐リポ酸も水溶性の成分ですが、胃液によって分解されやすく、分解されるとα‐リポ酸の性質がなくなります。そのために胃液が分泌されない空腹時に摂る必要があります。
もう一つの代謝促進成分のコエンザイムQ10は脂溶性の性質があります。本来ならα‐リポ酸とコエンザイムQ10は別に摂らなければいけないのに、それが一緒になったサプリメントがあり、いつ摂ればよいかわからない状態になっているのです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕