健康食品 敵か味方か32 素材の機能がわかれば妙な商品がわかる

健康食品は複数の素材を組み合わせて有効性を高めるようにするのが一般的ですが、組み合わせている素材の種類と機能性がわかってくると、妙な組み合わせをしている商品が見抜けるようになってきます。

その例としてわかりやすいものとしては血糖値の上昇を緩やかにする素材があげられます。血糖値の上昇を抑えるためには、胃で糖質がブドウ糖に分解されるのを抑え、ブドウ糖が小腸から吸収されるのを抑え、血液中に入ったブドウ糖が細胞に取り込まれるのを進め、そのために必要なインスリンが膵臓から多く分泌されるようにする、といったように複数の働きが必要になります。

そのような機能がある素材の組み合わせであれば、血糖値が上昇する理由が異なる人にも効果があるようにすることができるわけですが、同じ機能の素材を組み合わせても、あまり効果は期待できないことになります。

血糖値の上昇を抑えるために、医薬品として初めに使われるのはα–グルコシダーゼ阻害薬で、糖質をブドウ糖に分解するために必要なα–グルコシダーゼ酵素の働きを弱めることで、分解されるブドウ糖の量を減らしていきます。

胃の中でブドウ糖に変化する量が減れば、小腸から吸収されるブドウ糖を減らして、血液中のブドウ糖が減らせます。血糖は血液中のブドウ糖のことなので、血糖値が下げられるということになります。

α–グルコシダーゼ阻害の効果があるものとしてはサラシア、コタラヒム、グァバ葉ポリフェノール、桑の葉エキス、菊イモがあげられます。このうちの1つでよいはずなのに、なぜか同じ作用のものを複数組み合わせた健康食品があります。

医薬品には小腸でのブドウ糖の吸収を阻害するものはないのですが、健康食品ではギムネマ・シルベスタと難消化性デキストリンが、その働きをしています。α–グルコシダーゼ阻害の1つの素材と、ギムネマ・シルベスタを組み合わせれば、より効果が得られることになります。

こういったメカニズムがわかれば、妙な組み合わせの商品を見抜くことができるようになるということです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕