健康食品 敵か味方か33 機能性食品vs.気のせい食品

健康食品の種類の中には機能性表示食品というカテゴリーがあり、自社の商品の機能性の試験結果や、他社の商品を用いた結果の論文を根拠として消費者庁に届け出をしたものを指しています。

今でこそ“機能性”という用語は機能性表示食品を指すようになっていますが、以前は機能性食品は健康食品の別の呼び方として認識されていました。

その当時のこと、厚生労働省の栄養指導官と話をしているときに、「機能性食品は“う”の字がいらない」ということを言われました。“きのうせい”から“う”を除くと“きのせい”となります。これを漢字で示すと「気のせい」となります。

健康食品は、効果があるものではなくて、その感じている効果も「気のせい」と言いたかったのでしょう。栄養指導官は国立病院出身の管理栄養士で、以前の立場から健康食品に対する反発の気持ちもあったようです。

2002年に厚生労働省から「サプリメント等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的考え方について」という通知が出されました。健康食品の機能性を求める人が増えてきた中で、健康食品の正しい選び方と使い方を広めるという目的でしたが、ただ機能性食品の正しい情報を提供するとともに相談する人材としても期待されていました。

正しい情報の中には、「健康で質の高い生活を送るためにはバランスのとれた食生活が重要であることを前提に」ということと「過剰摂取等による健康被害の防止」ということも掲げられていました。

サプリメントというのは通常の食事で不足する栄養素を補うものという意味があって、当時の健康食品の位置付けを表したようでした。

今では「保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的考え方について」と名称が変わっています。保健機能食品というのは特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品を総称したもので、これに該当しない健康食品は“等”という一文字でくくられています。

この制度によって、やっと健康食品が“気のせい”などと言われることはなくなったものの、内容を確認して購入しないと、いまだに機能性ではなくて気のせいレベルのものもあるのは事実です。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕