有効性が確認されている健康食品の素材があり、それが充分に含まれていても効果に差があることがあります。これを個人差や体質の違いといって説明するのは簡単なことですが、それだけでは済まないことがあります。
そのような違いが現れるのは、他に摂取している成分の違いが大きく影響しています。ここではL‐カルニチンの有効性を高めるために必要な水溶性ビタミンについて紹介します。
L‐カルニチンは脂肪酸を細胞のミトコンドリア(エネルギー産生器官)に取り込むときに必要な成分で、L‐カルニチンを摂ることで脂肪の代謝が高まることは研究によって確認されています。それにも関わらず、脂肪のエネルギー代謝に違いが出るのは、脂肪酸がアセチルCoAに変化してエネルギー化させるために必要な水溶性ビタミンの不足が考えられます。
ミトコンドリアにはエネルギー産生のTCA回路というエンジンにたとえられる器官があり、TCA回路にはアセチルCoAが高エネルギー化合物として取り込まれていきます。
脂肪酸がアセチルCoAに変化するときにはビタミンB₂、ナイアシン、パントテン酸が必要です。このうちの1種類があれば良いということではなくて、セットで必要になります。1種類が欠けただけで変化が大きく低下することになります。
TCA回路で効果的にエネルギー産生するためには4種類のビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)がセットで必要になります。やはり1種類が欠けるとエネルギー代謝が大きく低下することになります。
この4種類は水溶性の性質があり、体内に長く保持することはありません。それでもビタミンB₁とビタミンB₂は24時間ほど保持されるものの、ビタミンB₆とビタミンB₁₂は12時間ほどしか保持されません。そのため、朝食と夕食で摂取する必要があります。
食事で不足する場合には、サプリメントでの摂取がすすめられますが、朝食と夕食の後が摂取タイミングとなります。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕