健康食品は食品であるので、誰が使ってもよいというのが大前提です。誰が、ということは病気の人が、その状態を改善するために使ってもよいわけですが、病気を治すような効果は表示することは法的に禁止されています。
これは健康食品を医薬品と勘違いして、本来の医薬品を使わない、治療を受けないことによって病気を悪化させるようなことがないように、というのが法律の主旨です。
病気の人が使うものではないということで、機能性を確認する試験でも、病気の人は試験対象から除外されています。それは高血圧の人が使うことが予測される商品なら、高血圧症と診断された人が排除されるということだけではなく、糖尿病や脂質異常症の人であっても試験対象とはされていません。
健康食品は、健康になる食品というよりも、病気ではない健康状態にある人が、今の状態を維持するものという印象が持たれています。
病気の人が試験対象者として外されるのは、このような生活習慣病関連の素材を用いた商品の試験だけでなく、生活習慣病と直接は関係がない商品(膝痛改善や視力改善など)であっても、試験対象にはなりません。
試験を実施する前の段階では病気であることがわからなかった場合でも、試験を実施した結果、病気であることがわかったときには、どうなるかというと、病気の人を除外して、その他の問題がなかった人のデータを使えばよいということではありません。その試験自体が無効となります。
そのため、試験を実施する前には、血液検査などの基礎試験をして病気でないことを確認しておかなければならないのです。このことは、機能性を表示して販売される健康食品(特定保健用食品、機能性表示食品)でも同じです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕