健康食品 敵か味方か70 機能性は「気のせい?」

健康食品の効果は「気のせい」と言われた時代があります。そのようなことを口にするのは健康食品に反発していた医師や管理栄養士などだけでなく、所管するお役人でも同じ状態ということがありました。

この雰囲気が変わったのは1991年のことで、当時の栄養改善法が改正されて、特定保健用食品制度が発足してからです。特定保健用食品(通称トクホ)は食品の健康機能を国が評価して表示を許可する制度で、世界の先駆けともなりました。初めての特定保健用食品が販売されたのは1993年のことです。

とはいえ、食品の機能性のことを「うの字がいらない」と言って、「気のせい」と言われるようなことは続きました。この機能性食品という揶揄は当時の厚生省の栄養担当の役人も普通に話をしていました。

2001年に厚生省と労働省が合併して厚生労働省となり、そのときから健康食品の機能性を伝える専門家の必要性が検討され、2002年には「サプリメント等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的考えについて」という通知が出されました。現在ではサプリメントの部分は「保健機能食品」と変わっています。

そして、2009年に消費者庁が発足して、健康食品の規制が消費者庁に一本化されてから(それまでは厚生労働省や経済産業省、農林水産省などに分散)、新たな制度の検討が始まりました。それが2015年で、そのときから機能性は食品の有効性を示す当たり前の言葉として使われるようになり、「気のせい食品」などと揶揄されるようなことは(公式では)なくなりました。

といっても、機能性表示食品制度では、販売される商品で機能性の試験をしたものだけでなく、同じ成分が同じだけ含まれていれば同じ効果があるということを認めているので、実際には表示された機能性が疑われる商品があることも事実です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕