社会課題の解決は公益活動の支援分野でも重要なテーマで、公的な補助金、財団などの助成金の申請をするときにも、社会課題の解決に、いかに重要な活動であるのかを示すことが補助・助成の成果に関係してきます。
解決すべき社会課題の中でも喫緊の課題とされるのは貧困対策で、フードバンクや子ども食堂、学習支援などが注目されています。食べることと学ぶことは重要性と緊急性で言えば食べることが最優先課題となっています。
日本の子どもの貧困率は11%を超えています。ひとり親世帯の貧困率は45%近くで、日本全体では15%に達していて、さらに深刻化するのは現在の経済的な事情から誰の目にも明らかなことです。
ますます少子化が進む中で、子どもが能力を発揮できるように支援することは重要な課題であり、今や10人に1人まで増えた発達障害児は学習面でも困難さを抱えていることから、貧困家庭の子どもへの教育支援の重要性は以前から重要なテーマとして取り組んできました。
私たちの専門分野の発達栄養学を活かせる場の一つとして、発達障害児の支援を行ってきました。その発達障害児支援の専門家と学習支援の専門家を結びつけた新たな法人の設立を支援して、発達障害児のための学習塾の運営が始まりました。
小さな活動であっても、画期的な内容であることから、それが既存の発達障害児支援施設や学習塾にも拡がり、学習支援が進むことを期待してのことです。これを応援するために、活動を紹介する書籍には原稿を提供しました。
どのような取り組みでも学習塾は収益が必要で、その収益があって初めて、家庭の事情から充分に学べない子どもの支援を充実させることができます。助成金の申請の文書でも、貧困家庭の子どもへの教育支援の重要性を強調しました。
収益活動が進む中で、同時に支援活動も進めることを期待していましたが、学習塾を拡大して、より多くの発達障害児を受け入れることが大切で、公益活動まで手が回らないことから、収益活動をする別の法人に運営が移されました。
そのことは実際に実施されてから、その法人の監事の私が知ることになりました。学習塾の運営者の「偽る脳力」を指摘するのではなく、この活動から手を引きました。私が進めたかった発達栄養を、学習塾を通してではなく、保護者に直接伝える機会を得るチャンスが到来したと考えるようにしました。
発達栄養は、発達障害児だけでなく、すべての発育過程の子どもにも役立つことで、そのための食生活は保護者の健康づくりを支えることにもなります。やりたいことを隠すためのマイナスの「偽る脳力」ではなく、自分を鼓舞して前進させるための「偽る脳力」を発揮することを選択しました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕