子どもの成長に必要な栄養素は、成人と同じだと考えられがちです。そして、同じバランスで身体の大きさに応じて量を減らせばよいとも考えられがちです。医薬品の場合には、子どもは大人の半分ほどという目安が設けられている種類もあるのですが、栄養素の場合には身体の大きさによって全体的に減らせばよいというものではありません。
人間以外の動物は誕生してからすぐに活動ができるのに対して、人間は1歳くらいになるまで自分で行動することはほぼできません。
それは脳に多くのエネルギーを必要とするからで、子どもの脳は誕生直後には350〜400gであったところから乳児期(生後8か月頃)には約2倍となり、5〜6歳で成人の脳の約90%(1200〜1400g)に達しています。
脳の機能は1歳までに約70%、3歳までには約80%が完成し、この期間に神経細胞が完成して、神経伝達物質も多く作られ、正常な機能が整えられていきます。
誕生後には見る機能を司る後頭葉が発達し、続いて聞く機能を司る側頭葉、言葉を理解する前頭葉の順に発達していきます。前頭葉の成長が急速に進むのは10歳前後までであり、13〜14歳でピークに達しています。
大人は身体に取り入れた摂取エネルギー源が増えれば体脂肪が多く蓄積される、摂取エネルギー量よりも使われる消費エネルギー量が多ければ体脂肪が減るというように、出し入れのバランスで考えることができます。
これは自動車にたとえると完成した車体にエンジンを動かす分だけのガソリンを入れればよいという感覚に似ています。ところが、子どもの場合には未完成な状態から完成形の車体に年月をかけて近づけていくため、走りながら車体を作っているようなものです。
その発育中の子どもの身体を作るための栄養素というと、筋肉、内臓、骨、脳などの材料となるたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどを摂ることが重視されます。そのこと自体は間違いではないのですが、自動車工場で部品から車体を組み立てていくときには、その作業に携わる人の身体活動のためのエネルギーもいれば、電気も必要になります。
その身体のためのエネルギーを作り出すために必要になるのが三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質です。この三大エネルギー源は、身体に取り入れれば、つまり食品を食べれば、そのまま身体の中でエネルギーになってくれるものではありません。
エネルギー化させるためには、エネルギー代謝のメカニズムに合ったビタミン、ミネラル、そして代謝促進成分が必要になります。この代謝を促進するために使われる成分を三大エネルギー源とともに不足することがないように、子どもには摂らなければならない成分があるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕