糖質制限は、糖質を制限するものであって、絶対に禁止するようなものではないはずです。“制限”は一定の範囲や限度があるところから出ないようにすることであって、全体に禁止するときに使う用語ではありません。
ところが、糖質制限をうたう食品には塩分が0gのものがあり、通常の食事でも糖質が一切含まれていないものを食べるというときに“糖質制限”が使われることがあります。
糖質制限は、血糖値を上昇させるブドウ糖を減らすという糖尿病の予防・改善だけでなく、生活習慣病全般の予防・改善を目指す場合にも取り組まれています。その理由は、血糖値が上昇することによって、体内で中性脂肪が多く作り出されるメカニズムがあるからです。血液中の中性脂肪が多くなることによって中性脂肪値だけでなく、LDLコレステロール値にも血圧にも影響があります。
血糖値が上昇すると、これを低下させるために膵臓からインスリンが分泌されます、インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンで、ブドウ糖を細胞に取り込ませる働きがあります。これが一つ目の働きです。もう一つの働きは肝臓での脂肪酸の合成を進めることで、ブドウ糖は脂肪酸に変化して、脂肪酸が3つつながると中性脂肪になります。この中性脂肪を脂肪細胞の中に取り込むようにするのもインスリンの役割です。
コレステロールは血液中のブドウ糖や脂肪酸が多くなると合成されるので、コレステロールを全身に運ぶ役割をするLDLコレステロールが増えていきます。LDLコレステロールが増えると動脈硬化のリスクが高まることから悪玉コレステロールとも呼ばれています。
糖質制限をすると体脂肪を減らすダイエットにも、生活習慣病を予防するメディカルダイエットにも結びつくということですが、糖質制限を限度以上にやりすぎると、血糖値が下がりにくくなることも懸念されます。というのは、膵臓が正常に働くためには膵臓の細胞のエネルギー源となるブドウ糖が必要だからです。
糖尿病は、インスリンが不足するためにブドウ糖が細胞に取り込まれにくくなることから血液中のブドウ糖が増えることによって起こります。インスリンが分泌されにくい状態であるのに、さらに膵臓がエネルギー不足になったら、さらに血糖値が上昇してしまいます。
糖尿病になると、細胞に取り込まれるブドウ糖が減って、細胞の働きが低下することから新陳代謝が低下します。血管の細胞の新陳代謝が低下すると血管が傷むようになり、細くて弱い毛細血管が集中する神経細胞、眼の網膜、腎臓の機能が低下するようになります。それが糖尿病の三大合併症の原因です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕