脳は同じ形のものが左右で対になっています。形は同じであっても、左右で働きが異なっています。左側の左脳は、言語、計算、理論などの論理的、概念的な思考を行っていて、読む、書く、話す、計算するという理性・知性に関わることは左脳が担っています。
右脳は図形や映像の認識、空間認識、イメージの記憶、直感やひらめき、全体的な情報処理などを受け持ち、音楽や絵画などの芸術的な部分は右脳が担っています。
脳は左右で役割が違っていても、分担をしているだけであって、左脳と右脳は連携して働いています。片側の脳だけで機能することはできないとされているのですが、てんかんの治療のために左右の脳をつなぐ脳梁を切断しても、脳の機能が低下しないことが知られています。それが脳の不思議の一つです。
運動機能に関しては、中枢は左脳にも右脳にもあり、左脳は右半身の運動機能、右脳は左半身の運動機能を司っているという交叉した関係になっています。そのために、左脳に障害が起こると、右半身に影響が出るようになります。交叉は視覚や触覚でもあって、視覚では右目で見たものは左脳で認識をしているというように、視神経は延髄で交叉しています。
脳梁を切り離した分離脳という考え方があり、右目で見た情報を認識する左脳は形がわからず、それを言語で示すことができません。また、左目で見た情報を認識する右脳は形がわかっても、それを言語で示すことができないので、見えていないのと同じような反応をします。
分離脳では、左脳と右脳が連携していないと見えていないはずですが、実際に脳梁が切断されても普通に見ることができるという脳科学でも解明できないことが起こっています。
脳の機能は意識と無意識でも分けられています。左脳は理性的であることから意識に関わり、右脳は直感的であることから無意識に働くと考えられています。
ものを見たり、判断をするときには左脳が理性によって判断していると考えられがちですが、右脳が無意識のうちに判断をして、それを左脳が意識で後付けによって判断の説明をしているとの感覚となっています。人間の行動は90%以上が無意識のうちに行われているとされています。
物事を達成するためには意志の力が重要だと言われ、そのために意識を高めることが重要だとも言われます。しかし、習慣化されたことは考えたり判断をしないまま無意識のうちに繰り返されることが多く、その意味を後で意識が理由づけをして調整しているということがあります。
これは脳が事実とは異なることを都合のよい状態に変換する「偽る脳力」が発揮されている状態といえます。
しかし、脳梁が切断されて、左脳と右脳がやり取りできない状態でも無意識と意識が連携して発揮されているので、まだまだ脳科学は真実には迫っていないのかもしれません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕