偽る脳力66 日本人は血液温度が低い

欧米人や北方系のアジア人は脂肪を多く摂取しても、血管にダメージが少ないのに対して、日本人は脂肪の取りすぎが血管を老化させ、生活習慣病の中でも肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)の発症リスクを高めることが知られています。

血管の健康は寿命に影響をするものであることから、世界一の長寿である日本人は血管が丈夫ではないかとみられています。「長寿=血管の若さ」ということを言うのは、偽りの感覚があるように感じることです。

日本人の平均寿命は女性が世界1位(87歳)、男性が世界2位(81歳)で平均すると世界1位となっています。平均寿命が高い国では、健康寿命(医療や介護に頼りきりにならずに自由に生活ができる期間)の差は短くなっていますが、日本の場合は平均寿命と健康寿命の差は男性が約9年、女性が約12年にもなっています。

これは平均寿命が一気に延びたことが関係しています。日本人の平均寿命が50歳に達したのは1947年(昭和22年)のことで、その当時のアメリカは65歳、北欧は70歳を超えていました。

いわゆる先進国の中では最下位に位置していたところから、一気に世界のトップ(クラス)まで延びたのは、もともと健康度が高かったためだとも考えられていますが、日本人は体質的な大弱点を抱えたまま健康づくりに励んできました。

その大弱点というのは、血液温度が低いことです。日本人の血液温度は37〜38℃で、この温度の血液が送られてくることで平熱の36〜37℃が保たれています。欧米人や北方アジア人などの血液温度は38〜39℃となっています。わずか1℃ほどの差ですが、これが健康度の大きな影響を与えています。

健康に関して最も大きな影響を与えているのは血管の状態です。血管の老化を進めるものとして中性脂肪やコレステロールが知られていますが、中でも動物性の脂肪である飽和脂肪酸は血液中で固まりやすくなっています。

動物の血液温度をみると、羊は約44℃、鶏は約42℃、牛と豚は約40℃となっていて、この温度で溶けている脂肪は、それよりも低い温度の血液の中では固まりやすくなります。日本人は血液温度が低いので、より固まりやすく、その結果として動脈硬化になりやすい体質となっています。

日本人の肉食の摂取量は1947年当時と比べると今では6倍以上にもなっています。血液温度を高めるためにはエネルギー量が高い脂肪を摂ることがすすめられることもあるのですが、脂肪の過剰な摂取は動脈硬化を増やすことになります。

脂肪の摂取量は変えずに、運動することによって、脂肪をエネルギー化させて、血液温度を高めることが大切というように考えを変えるべきではないかと考えています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕