普段よりも多く動くとエネルギー消費が増えて、それだけ空腹を感じやすいので、食事量が増えがちです。その行動は大筋では間違っていないものの、どれだけの量を食べればよいのかの目安がないと食べ過ぎにもなりかねません。
活動量が2倍になったら、2倍食べるというようなことはなくても、それに近い食事量にして、さらにエネルギー量が多い脂肪を多く摂るという人もいます。
1日に必要なエネルギーのうち、生命維持に必要な基礎代謝は約70%、活動代謝は約20%、食後の体熱産生は約10%とされるので、2倍の活動量があったとしたら、増えているのは20%だけです。
だから、増やしてよい食事によるエネルギー量は20%までとなります。このような単純なことが理解できないまま、運動をした後に食べすぎることになって、それが健康を害するようなことにもなっている人も少なくありません。
運動や活動の量が同じであれば、食事で摂るエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)の合計が同じなら出し入れのバランスが取れていると考えがちですが、いつ何を食べるのかによって、体脂肪の蓄積量が変わってきます。
余分に摂ったエネルギー源は、肝臓で中性脂肪に合成されて、脂肪細胞の中に蓄積されていきます。その合成のためにエネルギーが必要で、その必要量はエネルギー源の種類によって違ってきます。
食事で摂った脂肪が肝臓で中性脂肪に合成されるときには、同じようなものに変わるので、そこで使われるエネルギー量は摂取量の3%ほどです。この差はエネルギーロス率と呼ばれています。
それに対して、糖質とたんぱく質が中性脂肪に合成されるときには20〜23%ものエネルギーが必要になります。脂肪合成が盛んに行われるのは夕食後で、脂肪合成を進めるホルモンのインスリンは副交感神経の働きが盛んになる夕方以降に分泌量が増えていきます。
これについて私立の総合大学のスポーツ医学研究センターで実験が行われ、私も協力しました。1日に摂取するエネルギー源のバランスを変えずに、朝食、昼食、夕食で脂肪の摂取の割合を変化させたところ、夕食での脂肪の摂取が多いと体脂肪率が特に上昇することがわかりました。
朝食か昼食で脂肪の摂取が多く、夕食で少なかった場合には、体脂肪率の増加は少なく、夕食での食べすぎは余計に太る原因だという、これまで言われてきたことが裏付けられた形です。
このことを知っただけでは仕方がないので、いかに実践するかが求められますが、2割増しの食事の場合でもあっても、夕食に集中させるのではなく、1日の3食に分散させることが大切だということもわかる結果でした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕