効果的なダイエットはメディアが好むテーマで、メディカルダイエットは「やせるためのダイエットではない」と主張し続けていても、要望されるのは体脂肪を減らす方法がほとんどです。私が手がけたテレビ番組の中では食品による健康情報と並んで、実績としてあげられる多くはダイエットネタです。
物知りの塾講師が初耳だという情報は放送され、知っていたらボツになるというテレビ番組で、私の提供した情報が初めて放送されたのは「運動直後の入浴で脂肪代謝が低下する」ということで、そのことを知っていたら理由を問うという内容でした。それだけ放送したかった情報ということでしたが、理由を問うまでもなく放送されました。
運動をして汗をかいたときには、シャワーで汗を流す、入浴するということを習慣にしている人が多くいます。身体を動かしてエネルギー代謝が高まるほど体温が高まり、筋肉の温度を下げるために汗が出てきます。
筋肉細胞(筋繊維)の中にある脂肪分解酵素のリパーゼは一定の温度になると活性化しますが、温度が高まりすぎると活性度が低下します。私たちの身体も、寒いと働きがよくなくて、逆に暑くても働きが悪くなります。ちょうど働きやすい温度帯があるのと同じだと考えることができます。
運動直後の入浴で脂肪代謝が低下するのもリパーゼの特性によるもので、運動をやめてからも筋肉が温まっている間は、脂肪を脂肪酸にする分解は進んでいます。そのため、身体を動かさなくても、分解された脂肪酸は細胞のミトコンドリアに取り込まれて、エネルギー代謝が行われます。
その時間は約30分とされていて、徐々に代謝は低下しながらも代謝が盛んな状態は続いているわけですが、そのタイミングで入浴すると筋肉が温まることでリパーゼの活性が低下することになります。
これは体脂肪を減らそうとしている人にとってはもったいないことで、運動後はシャワーだけにしておきます。シャワーなら筋肉までは温めないので、リパーゼへの影響はありません。そして、入浴するなら運動後に30分を経過してからにします。
これとは逆に、体脂肪の減少を抑えようとする場合には、運動後に入浴して、リパーゼの働きを抑えるようにするのがよいことになります。ところが、フィットネスクラブでは、運動後に入浴することまでがコースになっているところもあり、運動後の入浴が体脂肪の減少を低下させることについて、ピンとこない人も少なくありません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕