話を盛る人の心理状態について、3つ目の話は、たった1人の例です。それは国を巻き込んでの政治の大スキャンダルの対策を仕切ったと大武勇伝です。
そのようなことを口にすると本来なら自らに身にも危険が及ぶようなことです。その場に実際にいたとしても自分や周囲への影響を少しでも考えたなら、口を閉ざすのが普通のことです。これは逆に言うと、他の人は口を閉ざすことなので、偽ったとしても問題ないと考える人が出てくるのもわからないではありません。
それは国のトップも務めた大物政治家が大スキャンダルに見舞われたときのことで、その時に大バッシングをするメディア対応をしたのは自分だと言って、広報の仕事を獲得していたと言う公共放送局出身の元アナウンサーがいました。
その方とは大手広告代理店の役員を通じての出会いで、当時の話をする元アナウンサーのリアルさを感じさせる説明に、役員も感心をして聞き入っていました。
それは盛りすぎの話であることは、すぐにわかったものの、場の雰囲気を壊さないように、その事実を役員に伝えたのは翌日のことでした。
私は大物政治家の選挙区の出身で、私が高校生のときに国のトップに上り詰めたことと、その政治家は「人脈」という言葉を盛んに使っていたことから、子どもながらにも、いつかは直接会って人脈をつないで見たいものだ、と思ってもみたものです。
地元ゆえに支援者も多く、熱烈な支援者の一人が高校の同級生の父親でした。東京の大学で学ぶようになってから、同級生から連絡があり、父親を政治家の東京の私邸に案内することになりました。
それをきっかけとして、私は私邸に出入りするようになりました。その当時の私のお手伝いは、錦鯉の世話でした。
そして、大スキャンダルのメディア対応のときには、会議のお手伝いのような形(お茶出しとか片付けのようなもの)であったものの、その場に実際に居合わせました。そのときに戦略参謀を務めていたのは、大手広告代理店のテレビ部門の担当者でした。
まさに対応を練っている現場にリアルにいたので、状況も把握していました。元アナウンサーが何かの関わりで手伝うようなことがあったのかもしれませんが、少なくともメインでもなく、戦術参謀でもなかったことだけは明らかです。
広告代理店のスタッフが有名なコマーシャルの作成チームに加わっただけなのに、自分が主導したようなこと言っている人のことを思い浮かべると、そのようなことを言う気持ちも理解できないことではありません。
このような盛った話は、当事者に会いたいと言われたときに困ってしまうことにもなりますが、その話をしたときには政治家は失脚をしていて、その数年後に亡くなるという状態であったので、真実が知れる心配はないという感覚があったのでしょう。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕