偽る脳力91 もっと重要なことができたと言う人

重要で急ぐことは最優先させるためには、自分一人ではこなせないからと他の人に助けを求めるのは普通にあることです。その求めに応じて手を貸して、いよいよ本格的に進もうという段階になって突然、最優先であったことが後回しにされることがあります。

後回しにしてよいことというのは、重要であっても急がないことであり、今は慌ててやることではなくても個人や会社にとって大事なこと、時間をかけてやったほうがよいことなどを指します。

初めは重要で急ぐと思っていたのに、急がなくてもよいことであることがわかり、急に方向転換されることはあります。

それは仕方がないことで、後になって考えたら、そのほうがよかったということもあります。ただ、その変えたこと、心変わりについて説明してもらわないと、少なくとも変更があったことを伝えてもらわないと、助けを求められた身としては準備を続けていて、待っている時間が長くなるほど、時間が盗まれたのと同じことになります。

そのことを面と向かって伝えたときに、よくあるのが、「もっと重要なことができた」「もっとよくするために変えた」「よくするために人脈づくりや勉強に時間をかけている」といった反応です。それを自分の頭で考えるだけでなく、これまで一緒になって進めてきた人に対して説明するのは当然のことです。

ところが、ちゃんと進めば、みんなが納得してくれるとの考え(思い込み)で説明もせずに、自分が正しいと感じたこと、楽しいこと、他の人に喜ばれることだと言って、説明を怠る人がいます。それも本人が悪いことだとは感じていないこともあります。

これこそ時間泥棒そのものの行動なのですが、「時間泥棒は泥棒をしていることに気づいていない」ということを本人に強く言っても、他人事として軽い気持ちでしか聞くことができない人がいるものも事実です。

子どものために始めたことは、ずっと子どものことを考えて続けてほしいのですが、子どものためには大人が変わらなければならないと言って、保護者だけでなく広く地域の人たちに呼びかけることに注力する人がいます。

その地域だけでなく、広域で理解を進めなければならないとの考えから、まだ地域の活動が始まったばかりなのに(場合によっては始まっていないときでも)他の地域との交流を始めることもあります。

それが本人にとってやりたかったこと、その実践で褒められることがあると、そちらが優先されて、だんだんと初めに言ったことが“能書き”になってしまう人もいます。

本来の目的を忘れたわけではないとしても、他に重要なことがあると言い出した途端に、どこがスタート地点とゴールであったのかがわからなくなってしまうようなことは避けないといけないのに、避けるべきことにはまってしまう人が案外と多いと感じています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕