これまで書き続けてきたことを振り返ってみて、「自分の都合によって重要な軸を変える人とは付き合わない」ということを決断しました。
悪気があってやっているわけではなく、仕方がない事情があり、まとまりのない思考や行動になっている人が多いことも承知しています。それを自分でコントロールできない人もいて、“ほとんど病気”と周囲から言われることもあるようですが、あえて“病気”だと考えて対応するようになりました。
それは岡山に移住してから取り組んだ発達障害児の支援活動を通じて学んだことです。発達障害は病気であったとしても、それを本人にも保護者にも伝えることはなく、当たり前の存在として付き合うようにしています。
「みんな違って、みんな良い」の発想で、あえて変えようとするのではなく、そのままの存在であることを認めて、その上で自分の状態や状況によって距離感を保っていくという考えです。
発達障害児は、すべての子どものうち10人に1人という存在で、その特性は生涯にわたって続きます。発達障害児の支援活動をする中で、統合失調症についても研究を進めてきました。
統合失調症は成人の100人に1人の割合とされていて、発達障害がある人が統合失調症となる確率が高いことが脳科学の研究者との交流で気づかされました。
統合失調症は、考えや気持ちがまとまらない状態が続く精神疾患で、遺伝性が指摘されています(片親の場合は6%、両親ともの場合は48%)。脳内で情報を伝える神経伝達物質のバランスが崩れることが関係していると考えられています。
神経伝達物質で特に影響を与えているのはセロトニンとドーパミンで、これは発達障害にも共通しています。
症状は、陽性症状、陰性症状、認知機能障害に分けられています。
陽性症状は妄想、幻覚(幻聴、幻視)、思考障害があり、考えに一貫性がなくなる特性があります。陰性症状は感情の平坦化(感情鈍麻)、思考の貧困、意欲の欠如、自閉があります。認知機能障害は記憶力の低下、注意・集中力の低下、判断力の低下があげられます。
陰性症状と認知機能障害は発達障害の自閉症スペクトラム障害と似通っていることもあり、誤った診断をされる例も報告されています。
感情や意欲が低下する一方で、その状態を変えようとして行動的になることもあり、一般に診断される統合失調症の状態とは違うことから改善したと考えて、自信をもって積極的に動くようになります。
まとまりのない思考や行動になりがちですが、それが途切れることを恐れて、ますます行動的になっていきます。それが周囲に影響を与えて、時間泥棒になっても本人が気づかないのも、よくあることです。
統合失調症だから付き合わないということではなくて、それに似た行動を起こす人は少なくないことから、脳科学を研究してきた成果の一つとして決断するときの基準にしているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕