私がやってきたことは、初めての方には経歴を渡していますが、そこに書かれていることが事実であることがわかったときに、多くは3つの反応をします。それは一緒に活動しようとする人、人脈やコンテンツなどを利用しようとする人、そして離れていく人です。
話を盛っている人についても「偽る脳力」の中で書いてきましたが、私が書いていることが盛っていないことがわかり、その裏付けとエビデンスがわかった瞬間に離れていく人が目立っています。
その人については、共通の知人から“底が見えてしまうから”、“自分と比べられるのが嫌だから”というようなことを言っていましたが、それは仕方がないことで、どこの世界でもあることです。
どこの世界にも、というのは、私のような移住者に限らず、同じ地域での移動や転職などであっても言えることで、自分の防御範囲に踏み込んでくる(かもしれない)人に対しては拒否反応が示されます。
それは自分の仕事や活動を犯されることへの不安感や不信感もあって、こちらは仕事や立場を奪おうとしているわけでもなく、むしろ協力して高めてほしいと考えていても、拒否反応で済まずに拒絶反応を示されることも、これまで何度となく経験してきました。
アメリカに出向いて訪問販売業界(direct selling)の講師を務めたのは1999年から2001年のミレニアム(千年期)を跨いだ3年間で、これまで習慣的に続けられてきたことの変革が求められる時期でした。
当時のアメリカの業界団体の理事会社の社長が日本人で、仕事先の出版社の社長が大学同期だったとのことで紹介されました。
当時の私は病院栄養管理の研究所で、日本人の体質、サプリメント科学の研究をしていて、健康食品を規制する法律にも詳しかったことから、日本に進出している会社の講習に講師として呼ばれました。
2001年に厚生省と労働省が統合されて厚生労働省になり、健康食品に関する規制が変更される中で、2002年には健康食品に関わる専門家育成の通知が出されることがわかっていたので、そのときからは利益相反になることから3年限定の講習でした。
2000年には日本に進出している訪問販売業界の複数の国内の会社(自分の記憶では6社)の法律講師を務めました。対象は運営者側でしたが、1社だけ訪問販売を実際に手掛けるメンバーに直接講習をする機会がありました。
その後にも求められればアドバイスをすることはあったものの、2015年から消費者庁によって機能性表示食品制度が始まり、岡山に移住する前の2017年3月まで委員を務めていたので、利益相反の関係から健康食品業界との交流は途絶えていました。
多くの集まりを通じて知り合った方々の中には、私の栄養や運動、サプリメント研究の経歴を知って接触してくる方が複数いました。法律を遵守した活動をするなら応援をしようという気持ちもあり、求められれば話をさせてもらいました。
アメリカで訪問販売業界の講師を務めているときに、複数の大学を紹介してもらい、訪問販売を経済学として学ぶ機会を与えられました。
アメリカでは訪問販売は経済学の研究のテーマですが、これは訪問販売業界が財団法人を設立して、経済学部で寄付講習を行っていました。その財団法人による講習の講師は、私をアメリカに呼んだ会社の副社長であったことから、私も学ぶことができました。
法律を遵守した活動は大前提で、岡山でも正攻法での活動であれば応援する気持ちに変わりはなかったのですが、私がやってきたことを知ると離れていったり、遠ざけるようなことが目立つようになりました。
会の集まりの後に聞いてみたところ、私から叱られると思って離れていったという人もいて、私が退会したことを聞いて、ホッとしたという話をしていたということを、別の会員(入会以前から知っていた人)から聞きました。
これも私がやってきたことの結果で、仕方がないのかとも思うところですが、東京にいたときにも、そのようなことがなかったわけではありません。
健康食品の販売会社の法律コンサルタントをしていたときに、法律を遵守した活動をしているときには相談にくるのですが、法律を破るようなことをしているときに限って相談してこないということは、よくありました。
これも私に叱られることを心配してということでしたが、私に叱られることなどは、規制官庁(消費者庁、都道府県の薬務部署、警察など)に叱られることになり、仕事が続けられなくなることに比べたら大したことではありません。
取り返しがつかない状態になってから相談にこられるのは困ってしまうのですが、それでも知り合って指導したからには、少しでも被害を小さくするための対応をしてきました。
私が指導をした会社が連続して取り締まりにかかることがあり、中には6か月の措置命令を受けたところ、社長が逮捕されたところもありました。一時期、「小林に相談すると逮捕される」という噂が出たこともありましたが、抜け穴を教えるようなことをしていたわけではありません。
相談にくる会社の多くが、規制ギリギリのことをしていたり、時には踏み外していたところがあり、それくらい販売と規制の間で苦労をしている会社が多いことも知っています。
健康食品の販売を規制する法律としては、医薬品医療機器法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)、健康増進法、特定商取引法(特定商取引に関する法律)、食品表示法、食品衛生法などがあり、複数の法律を組み合わせて対応しなければならないことがあり、さらに法律や通知・通達が“お役所文書”であることからわかりにくいこともあります。
間違いやすいことなので専門家だから付き合うということがあっても、専門家だから付き合わないというのはあってはならないことと言いながらも、違った意味での“偽る脳力”を発揮する人が実際には多いことを強く感じているところです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕