免疫の第一防御ラインは粘膜なのか

免疫についての情報は、新型コロナウイルスの感染拡大に合わせるようにメディアでも報道されるようになりました。他のテレビ番組よりも少しでも違った切り口、違った内容にしようとするために、オヤッと思うような番組も増えています。免疫というと、免疫細胞の白血球とリンパ球が取り上げられることが多いのですが、これは第二防御ラインで、第一防御ラインは粘膜だという内容の番組がありました。
新型コロナウイルスは粘膜である目からも侵入するので、その話かと思って見ていたら、喉の粘膜のことでした。口から入って、喉の粘膜まで到達したウイルスは、そこに定着して増殖していくので、ここで免疫細胞が戦って増殖を抑えられれば感染しないというような語り口でした。新型コロナウイルスについては、この説明で違っていないのではないのかもしれませんが、戦う相手が菌の場合には第一防御ラインは皮膚となります。
皮膚には常在菌と呼ばれる菌が多数付着しています。この常在菌は人間に害を与えるものではなくて、有害な菌がやってきたときに戦うもので、腸内細菌の善玉菌と同じように考えることができます。善玉菌が増えると悪玉菌の増殖を抑えてくれているわけですが、常在菌も一定の量が保たれていると皮膚に付着した外敵の菌が抑えられて、生き残ったとしても弱まった菌が傷や口から入ることになるので、体内の第二防御ラインで抑えることができるようになるということです。
せっかくの第一防御ラインの皮膚ですが、ウイルス感染防止のための手洗い、アルコール消毒によって、本来なら善玉である常在菌も死滅するか除菌されます。感染症はウイルスだけではなくて、細菌によって起こるものもあります。清潔にすることがいけないと言っているわけではないのですが、清潔にしすぎるための行動が、かえって体内の免疫システムを壊してしまうことにもなりかねないということも考えなければならないのです。