新型コロナウイルスの感染拡大の調査から性別によるリスクの違いが明らかになってきました。厚生労働省の新型コロナ専門家会合で、男性は女性の2.8倍の感染率だということが発表されました。この数字が他の疾患に比べて高いのか低いのかということですが、がんの死亡数(2019年)をみると男性が約57万2600人、女性が約49万4600人となっています。同年の人口をみると男性は約6146万人、女性は約6486万人なので、がんでの死亡数は男性のほうが多いことがわかります。
女性は男性よりも強いということですが、それにしても2.8倍というのは大きすぎる違いです。がんの発症も免疫が関係していますが、新型コロナウイルスでは男女の免疫の違いが大きく出てしまうようです。男性ホルモンは免疫細胞のリンパ球のB細胞が抗体を作り出すのを低下させ、女性ホルモンは逆に向上させることが知られていますが、それだけでは説明がつかないことです。
新型コロナウイルスは基礎疾患があると感染しやすく、重症化しやすいことが知られています。新型コロナ専門家会合では、それぞれの疾患がある人のリスクを示していますが、最も高かったのは高尿酸血症の3.2倍です。これに次ぐのが慢性肺疾患の2.7倍、糖尿病の2.5倍、脂質異常症の2.1倍と発表されています。
高尿酸血症は痛風の原因になるもので、痛風と感染症というと関係がないように思われがちですが、なぜか感染リスクが高まっています。高尿酸血症は細胞が破壊されることによって細胞の中のプリン体が血液中に出ることと、プリン体が多く含まれる肉や魚の内臓を食べることで発症しやすくなっています。高尿酸血症は糖尿病や脂質異常症を複合的に合併することが多く、糖尿病と脂質異常症のほうのリスクも考えられます。
生活習慣病の発症率は男性のほうが高いので、このことも男女差が大きい原因になっているようです。