免疫は酸素不足で低下する

外敵と戦う免疫を司っているのは免疫細胞の白血球とリンパ球です。全身の細胞はエネルギー源のブドウ糖や脂肪酸を材料に、酸素を使ってエネルギー代謝を起こしています。その内部で作り出されたエネルギーを使って、細胞は機能を維持しています。これは免疫細胞も同じで、酸素を使ってエネルギーを作り出しているわけで、酸素を充分に取り込むことが必要となります。感染症の場合には、マスクを着用することが感染防止に必要ですが、マスクをしたために酸素不足になり、そのために免疫が低下したのでは仕方がありません。
マスクは種類によって感染防止の機能が異なり、最も機能が高いのは医療機関で使われているN95マスクで、それに注ぐのが不織布マスク、最後が布マスクとなっています。不織布マスクはウイルスの通過を防ぐ機能が布マスクよりも強くなっているものの、空気が通りにくくて、普通に歩いているだけでも息苦しさを感じることがあります。夏場は、もっと息苦しくなり、少なくとも不織布マスクをしてランニングどころかウォーキングも難しいという状態です。不織布マスクでは熱中症のリスクが高まるのも当然のことです。
それだけ空気が通過しにくいマスクとなると、着用したままでは免疫細胞を充分に働かせるために必要な酸素が取り込めないことも考えられます。充分な酸素が入ってこないだけでなく、口から外に吐き出さなければならない二酸化炭素がマスクのために口の中に残って、再び吸い込むことにもなります。夏場はマスクの内部が濡れて、さらに二酸化炭素が通過しにくくなります。これでは酸素不足の状態になるので、感染のリスクが低い状況では不織布マスクを外して生活するか、布マスクに代えるといったことが必要になります。
新型コロナウイルスは糖尿病の人では重症化しやすいということが指摘されていましたが、糖尿病の指標の一つのヘモグロビンA1c値が高いということは、酸素の供給量が少ないことにもなります。赤血球で酸素を結びつけて全身に酸素を運んでいるのは赤色素のヘモグロビンです。このヘモグロビンにブドウ糖が結びつくと糖化ヘモグロビンのヘモグロビンA1cになります。ヘモグロビンA1cは酸素を結びつけることはできても、離すことができなくなります。ということは、酸素を送り届けることができなくなるため、ヘモグロビンA1c値が高い人ほど酸素が不足した状態になり、免疫細胞の働きも低下してしまうというわけです。