免疫向上と熟睡の関係

睡眠は疲労回復や新陳代謝のために必要なだけでなく、免疫の向上にも重要です。睡眠というと7時間以上の充分な睡眠時間を確保すればよいように考える人も少なくありませんが、大事なのは量よりも質で、質がよくない睡眠の状態では睡眠時間を長くとっても免疫の向上にはつながってくれません。
質のよい睡眠は“熟睡”という言葉で表現されます。熟睡は、ぐっすりと眠ることを一般には指しています。ぐっすりと眠ることができたかどうかは、本人は寝ているだけに実感することはできません。実感らしいことといえば、朝に目覚めたときに気分がすっきりとして、疲れが取れた感じがするということくらいです。
睡眠は同じ状態が続いているわけではなくて、浅い眠りと深い眠りを交互に繰り返しています。一般には90分サイクルで、45分は浅い眠りから深い眠りに向かい、45分は深い眠りから浅い眠りに向かっていると考えられています。しかし、この時間は個人差が大きくて、これよりも短い人もいれば長い人もいます。あくまで平均的な時間でしかありません。
浅い眠りの状態はレム(REM)睡眠といって、急速眼球運動(Rapid Eye Movement)を指しています。眠りが浅いことで、脳は充分には寝ていない状態で、眼球も動いています。このときに夢を見ています。深い眠りの状態はノンレム(non-REM)睡眠といって、急速眼球運動ではない状態を指しています。ぐっすりと眠っている状態で、夢を見ることもなく、このときに成長ホルモンやコルチゾールというホルモンも多く分泌されます。成長ホルモンは疲労回復と新陳代謝を促進してくれるホルモンです。成長ホルモンが免疫の向上にも作用しています。
コルチゾールはストレスを感じたときに分泌されますが、それは起きているときの話で、眠っているときには脂肪分解の働きをします。眠っているときにもエネルギー源としての脂肪酸は必要で、身体を動かしていない状態で中性脂肪を分解して脂肪酸とするためにコルチゾールが作用しています。この脂肪酸を用いて、細胞のミトコンドリアではエネルギーが作り出されています。このエネルギーが身体を調整して、免疫を強化するのに使われているということです。