免疫細胞の連携で無駄なく外敵を攻撃する

免疫細胞のB細胞は外敵と直接戦うわけではなくて、抗体という、新型コロナウイルスでよく耳にしたことがある免疫グロブリンというタンパク質を発生させます。この抗体が銃弾のように外敵を攻撃していきます。これでも退治できないときにT細胞の出番となります。
T細胞はリンパ球の一種で、キラーT細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞があります。キラーT細胞は外敵を直接攻撃する戦闘機のようなものです。ヘルパーT細胞はキラーT細胞の働きを助ける役割をしていますが、単なる補助ではなくて、マクロファージから受け取った情報をもとにして外敵に合わせた攻撃方法を教える役割があります。攻撃方法というのは、どの武器を、どのように使うかという戦略のことで、ヘルパーT細胞によって無駄なく攻撃ができるようになっています。
サプレッサーT細胞は免疫細胞が暴走して働かないようにする抑制役をしています。暴走すると自分の細胞まで攻撃するようになり、これが一般にはアレルギー反応と呼ばれています。アレルギーを抑えているのがサプレッサーT細胞ということです。
そして、最後に登場するNK細胞は、その名のとおり生まれつきの殺し屋のようなもので、特にウイルスやがん細胞などを手当たり次第に攻撃していきます。NK細胞は強力なミサイルに例えられます。
免疫細胞の種類はわかったとしても、では、どのようにして免疫を高めていくかということがわからなかったら、その知識は“宝の持ち腐れ”にもなりかねません。生きている人間が腐らないことと、持ち腐れをかけた表現で、こういった言葉遊びのようなことも、記憶として残すためには役立ちます。
免疫細胞は細胞であるので、働くための燃料(エネルギー)が必要になります。戦車や戦闘機も燃料がなければ動かすことができません。細胞は糖質と脂質をエネルギー源としていますが、これをエネルギー化させるときには水溶性ビタミンが必要であるのは、全身の細胞と同じことです。特に免疫細胞を活性化させるために大きな力を発揮するのは多糖類のβ−グルカンです。これはキノコの細胞壁に特に多く含まれる食物繊維で、ブドウ糖が鎖状に結びついた形をしています。
免疫強化に役立つとされるアガリクスや霊芝、キノコキトサン(エノキタケに豊富)の有効成分となっているのはβ−グルカンです。キノコは食感や軟らかでも細胞壁は硬くて、煮るなどして普通に食べても吸収されません。そこで健康食品では圧力をかけるか発酵させて細胞壁を破壊する方法が使われます。エノキタケの場合には水とともに凍らせると、解凍されるときに細胞壁が壊れます。そして、味をよくする成分も出てきます。これが一時期流行したエノキ氷です。