入浴法によって体脂肪の蓄積が違ってくる

メディカルダイエットの手法では、夕食前の入浴温度が重要で、ぬるめのお湯に、ゆっくりと浸かり、そのあとに食事をすることには注意を呼びかけています。厳しく体脂肪コントロールをしなければならないスポーツ選手の場合には、ぬるめの入浴だけでは体脂肪が増えることになるので、浴室から出る前に42℃以上になるように追い焚きするか、熱めのシャワーを浴びることを指導しています。ぬるめの入浴は38〜40℃の湯温を指していますが、この温度で入浴すると自律神経の副交感神経の働きが盛んになります。副交感神経によって胃液とインスリンの分泌が盛んになっていくのですが、ぬるめの入浴は食べたものの消化を進め、膵臓から分泌されるインスリンによって肝臓での脂肪合成が進むことから、これが太る要因となっています。
年齢を重ねて、なかなか太れなくなってきた人は、ぬるめの入浴はインスリンの分泌量を増やして、脂肪合成を進め、そして体脂肪を適度に増やすことを考えたいものです。ぬるめの入浴は、もちろん副交感神経の作用によってリラックス効果があり、心身の疲れを取り、安定した状態で睡眠までの時間を過ごせるというメリットもあります。
単純に太るということなら、これだけでもよいのでしょうが、体脂肪が増えることで筋肉の割合が減ったり、体脂肪の増えすぎでメタボリックシンドロームになってしまうのでは、“健康のために太る”という目的とは離れてしまうことになります。体脂肪を増やすけれど筋肉も増やしたいという人には、入浴前の筋肉運動がすすめられます。メディカルダイエットの手法では、運動直後の入浴は、ぬるめのお湯であっても30分間は禁止しています。運動後に30分してから入浴するのは筋肉の中にあるリパーゼという酵素は運動によって筋肉の温度が高まると働きが盛んになり、脂肪の分解が盛んになっていきます。分解が進めば燃焼しやすくなるのでダイエット効果も高まります。
リパーゼの働きは運動を終えてから徐々に低下しながら30分間は続いています。何もしなくても脂肪が燃焼している時間なので、やせたい人は入浴せずにシャワーだけにしておきます。シャワーは筋肉までは温めないので、リパーゼに影響しないわけです。筋肉運動によって筋肉を刺激して、そのあとに脂肪の燃焼を減らしたいという人は入浴をしたほうがよいということです。
ぬるめの温度での入浴なら問題はないのではないか、ということは以前にテレビ番組のダイエットコーナーの監修をしたときにディレクターから聞かれましたが、運動によって筋肉の温度が高まったところに、ぬるめであっても身体を温めるだけの温度がプラスされると筋肉の温度が高まり、やはりリパーゼの働きが低下していきます。